創作の箱庭

オリジナル小説置き場。企画物やら短編やら長編やら。ファンタジックなの多め?

2015-08-01から1ヶ月間の記事一覧

祭りばやしの外の外──のべらっくす第11回

毎月恒例短編小説企画。今回のお題は「祭り」 【第11回】短編小説の集いのお知らせと募集要項 - 短編小説の集い「のべらっくす」novelcluster.hatenablog.jp この短編の中で物語が完結するように、を今回の裏テーマにして頑張ってみました。自分自身があまり…

海に焦がれて~1000チャレ8

気づいたときには、浩一が真っ赤なシロップに染まったかき氷を食べ終わり、緑色にまで手を出した時だった。なかなかの好感触を受けることが多くて、つい夢中になって女の子に声をかけ続けていた。 夏の海はいい。 健吾はしみじみそう思う。 その暑さでくらく…

海に焦がれて~1000チャレ7

アキと二人並んで座り、無言でかき氷をつつく。そうしていると、十年前のことが思い出されてくる。浩一はいまと同じくイチゴ味。アキはレモン味。それから、メロン味を手にしていたのは、もう一人の幼なじみ、鮫島茂だった。 ひょろっとした痩せ型で、男子小…

海に焦がれて~1000チャレ6

浜辺に上がり、アキの店の焼きそばをすすっている間も、浩一はなんだかそわそわして落ち着かない様子を見せていた。貧乏揺すりして、周囲を警戒しながら箸を動かしているかと思えば、海の遠い場所を見つめて、完全に動きが停止していることもある。健吾が焼…

海に焦がれて~1000チャレ5

浩一の様子がおかしい。 足がつくかつかないかのギリギリの場所に浮かびながら、健吾はさらに深い場所で一心不乱に泳ぐ浩一を見つめていた。 確かに、海水浴に来るのはそもそも面倒くさそうだった。それを無理やり連れてきたのは健吾であって、その気がなさ…

海に焦がれて~1000チャレ4

こーちゃんが、帰ってきた。 アキは嬉しさのあまり、顔がニヤけるのを止められなかった。 三年半ぶりに会った幼なじみの浩一は、すっかり大人の男の人になっていた。背の高さはあまり変わらないけれど、子供っぽさを残していた顔はすっかり精悍な表情になり…

海に焦がれて〜1000チャレ3

浩一が振り返ると、そこにはTシャツ、ショートパンツの上に海の家の名前が書かれたエプロンをつけた女が立っていた。驚きにそのまん丸の瞳をさらに丸くして、買い出し帰りなのか、両手にはスーパーのビニール袋を握りしめている。 「アキ……」 「やっぱり、…

海に焦がれて〜1000チャレ2

「宿も取ってあるし、車も借りれることになってるからさぁ。予定空けといてよ。てか、空いてるよな?」 そう言って、健吾は浩一の逃げ道をつぶす。そうでもしないと、のらりくらりと誘いを断ることは明白だった。さすがに付き合いが三年を越えて、その辺りは…

海に焦がれて〜1000チャレ1

前書き 毎日文章書くようにしたいな、ってことで、毎日1000文字以上の文章を書くチャンレンジ企画を今日からスタート。ルールはこちら↓ ・1000文字以上、書いたら成功。失敗しても途中までをアップ。書けなかった日も所感的なのはアップする ・1日は、起きて…